ここはかくれが、ふたりきり。

わたしがいて、あなたがいる。あなたがいて、わたしがいる。どちらが先かに意味はなく、このひとときに、ひとりになれる。

ドキッ! 〜パンクもあるよ〜 男一人、地獄の自転車旅行 Part3

三日目。ルートはこちら

今日も筋肉痛に悩まされることはなく、朝食のパンを食べてシャワーを浴びてからチェックアウトを済ませ、ホテルを出た。



前回のヒキで言っていた胸中の不安、それはバイクの事だった。

昨日バイクを止めたのがホテルの真ん前。それも特に駐輪場でも何でもない場所に。だから悪戯されないか心配だったのだ。

名古屋駅前を冠することからも分かるように、駅前にあるホテル。名古屋というだけあって人はわんさといる。当然酔っ払いや頭文字D(大文字三つのあれですよ、柄のよろしくない連中)の比率も増える訳で。



蓋を開けてみれば、どこに傷がついていることもなく。昨日と同じ姿でそこにいた。名古屋の皆々様、疑ってゴメンねっ☆

ほっと胸を撫で下ろし、空気を補充してから石山に向けて出発した。



昨日よりは遥かに弱い風が吹く中、昨晩にリルートした道(大きな道路を避けたのだ)を軽快に漕いで行く。

拍子抜けするくらい何の支障もなく、今日は標高を200も超えない関ヶ原を越えるだけ。こりゃ楽勝だなと。



そう思っていた時期が私にもありました。



この期に及んで何を馬鹿な。この旅で辛くない行程が一日でもあったか?

つまりはそういうことだ。今日もバッチリ辛かったです☆



関ヶ原の峠自体は大したことありませんでした。高さが高さですしね。まあ正直、初日の坂に比べればどんな坂もちょろいもんですよ。

途中でゲンキー(知る人ぞ知る、大型ディスカウントストア。北陸と信州にしかなかったような)があったので、パンク修理のパッチが切れた時のために(予備のチューブを持っていなかった)ビニルテープを購入しようと寄ったところ、まだ開業前だったようで、品物の搬入をしていました。騙された。

まあやっていないものは仕方ない。もう少し行った先にコメリがあったのでそこで購入。またしばらく行くと郵便局があったのでお金を下ろす。

そして峠自体は特に問題なく越えられた(そういえば、国道21号線に入る前に一回微パンクしてました)のだが、ここから先が今日の苦労ポイント。

まずは醒ヶ井のあたりから向かい風が吹き始める。しばらくすると収まったのだが、ここからひたすら70kmほどの長丁場。これまでの疲れが蓄積していたのか漕ごうにも力が出ず、何度も止まりながら進んでいった。精神的には全然辛くないのに、体が言うことをきいてくれないという状態だった。

すると頭までイカれ狂ったのか、何故か自分の中にもう一人、トレーナー的な人格が現れて「よーし、インターバル取ろうインターバル」だの、「いいよいいよー、もっと高めていこう」だの、「はい頭切り替えて! インターバル終わったよー」だの、懸命に漕ぐ自分を激励してきました。今にして思えば、名状しがたいほど気持ち悪いです。しかしまあ、それがその時の自分にできる唯一の防衛の手段だったんでしょうねえ……。分離させでもしないとマトモに走れない状態だったんでしょう。



しかしそんな状態も、とあるアイテムにより救われました。その名も、ビタミンCとクエン酸。前回の遠乗りで父親からビタミンCが足りないとアドバイスをもらったので(父親はロードに乗っていて、チームに所属している)、かなり前に購入しておいたのだ。飴なので、休憩した時に口に放り込んでまた走り出した。それからしばらくすると、急に脚が軽くなって気分も上を向いてきた。

18km/hも出せていなかったのが、21km/hあたりで走れるようになり、自分でも驚いた。最初これは、渋滞に捕まった車の横を颯爽と(漕いでる自分からすれば颯爽さは皆無なのだが)抜けていくことに快感を覚えたからなのかと考えていたほど、唐突且つさりげない、しかし絶大な効果だったのだ。

クエン酸さんと敬称をつけてしまいたくなるくらいにありがたかった。この回復が飴によってもたらされたものだと分かるや、口からなくなるとは新しいのを放り込みつつ、着実に石山へと迫っていったのだった。



初めてのパンクに見舞われた時には、確かにタイヤレバーやポンプ、替えのチューブは大いに役立った。しかし今回は、クエン酸とビタミンCに最大の賛辞と謝辞を捧げたいと思う。彼らがいなければ石山に辿り着くのが何時になっていたことか。想像に難くない。



そして功労者の存在もあり、目的地付近で少し迷ったもののどうにか石山駅のすぐ側、最終日のホテルであるレイアホテル大津石山にようやく到着した。時刻は17時30分を少し回ったところ。

これならばと、出発前から画策していたワンカルビPLUS+への一人焼肉食べ放題を敢行したのだったッ! そして後悔したッ! 王将にすればよかったとッ!

ぼっち的な後悔ではなく、満足できたかどうかの意味合いで(大の王将好きなものでして)。焼き飯大と餃子一人前、それに焼きそばという千円ちょっとの値段で自分は十分だったのだ。焼肉のお金でそれらを三回は食べられたというに……(血涙)



そんな後悔を引きずりながらもホテルに帰りつき、ペイチャンネルでウッフ~ンな番組にウェッヘッヘしたり、金曜ロードショーの『第九地区』を見たり、若干気になる異性の友人(それ以下かも)にメールして戻ってきた素っ気ない返事に凹んだりして、その日は幕を下ろしたのでありました。





実はこの夜、確実に襲い来る”あるもの”に悩んでいたのだが……?

次回、自転車旅行Final! 乞うご期待!



〜三日目の記録〜

距離:133.25km

Av:17.4km/h

Mx:29.8km/h

Cal:1503.6

Time:7.37.25

実働:10.33.10